id:m-hiyama:20050601 ウォーターフォール擁護論

とかまあ、ソフトウェア工学系の話が長引いているようなのではてなに戻ってコメント。
端的にいって現在までのソフトウェア工学というのは基本的に「大規模開発」を対象としてきたので、小回りが効かないってのはあったわけです。庭の木を埋める穴を掘るのに大型ショベルカーを引っ張ってきても役に立たないわけで、物には適材適所というものがあります。とはいえ、それはこれまでの対象がそうであったというだけで、これから(というかすでに最近で)は中小規模の開発やWebアプリケーションについての研究も活発です。
大体たとえばXPの個々のプラクティス自体、ソフトウェア工学と無縁かというとそんなでもないわけです。ペアプログラミングは常時レビューの一種(究極?)とも言えるし、TDDはV字モデルを究極に推し進めた(というか逆向きにした)ものとも言えます。計画ゲームでの理想時間見積りなんてのも、自分の開発時間をきちんと把握していないと本来見積もれないでしょう?
アジャイルといわれるプロセスにおいて、ソフトウェア工学の工学としての側面、つまり物事を定量的に捉えて分析しそこに潜む法則を見出そうというその姿勢自体が軽視されているわけではない。というか、それらの知識が下敷きにあってその上で提唱しているわけなので、そのへん取り違えられるとなんだと思う。
オブジェクト指向技法があれば構造化技法はなくていいのか、という議論と似てるかも。
つーかね、プロセスは所詮ツールなんで、用途に合わせて適当に選んでください。宗教になっちゃいかんですよ。
(追記)計画的プロセスとアジャイルプロセスのトレードオフに関する良い文献としては、さわださん(id:satoshis:20041013#p1)も紹介していた「アジャイルと規律(isbn:4822281922)」があります。50人でのXPプロジェクト事例(第4章)などなかなか読み応えがあります。